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インストラクショナル・デザイン(ID)※委員会

インストラクショナル・デザイン(ID)委員会とは

 インストラクショナル・デザイン(以下、ID)委員会とは、「知的財産に関する能力検定制度研究会」の決定を受けて設立された『知的財産教育プログラム』をデザインするための委員会です。
 当委員会は、IDの専門家として米国でPh.Dを取得された大学教授を委員長として、企業の知財部スタッフ(8名)、弁護士、弁理士等の知的財産に係る専門家(5名)の方々から構成されます。
 最前線の現場において活躍されている方の専門的知識とIDの枠組みの双方を組み合わせることによって、従来にない優れた教育プログラムを作成することを目的とします。


インストラクショナル・デザイン(ID)とは

インストラクショナル・デザインとは、日本ではあまり普及していませんが、歴史的にはアメリカの政府機関が、軍における新兵教育を短期間で効率よく効果的に行う手法を求めた研究成果です。
具体的には、教育プログラムを開発するために、指導計画の立案、指導内容の検討、評価方法の検討など様々な情報を分析し、総合的に企画する教育工学的なアプローチで、学習者、開発者、教育プロジェクトの要件を最適に統合し、教育を開発する手法であり、教育・心理研究の知見や学習理論に基づいた、教育の設計・実施のための枠組みとガイドラインを提供するものです。また、その手法の一つとして、ルーブリック(評価基準表)が知識レベルの判定の為に用いられます。

〔注:ルーブリック(Rubric)とは、評価基準を設定する表のことです。ルーブリックサンプルは、こちらのURL http://edtech.sandi.net/rubric/ をご参照ください。ルーブリックによる評価基準を各状況に応じて設定することで、段階の評価基準がすべて文章表記されて、より信頼性のある評価が可能となると考えられています。〕

『知的財産教育プログラム』開発について

 企業において求められる力とは、様々な具体的場面における課題解決力と考えられます。  そこで、当委員会ではまず、「事例カード」(※参考資料1)を作成することにより、実務上遭遇する様々な場面を数多く蓄積します。
 次に、集められた各場面に対応する「ルーブリック」を作成することにより、課題解決力について評価基準を設定します。
 そして、これらのルーブリックを基に「学習構造チャート」(※参考資料2)を作成し知識を体系化することにより、網羅的かつ秩序付けられた効果的な知識の教授・評価が可能となります。

 このように実務上遭遇する場面において必要とされる知識を抽出し、体系化することにより、極めて実践的かつ効果的な知的財産教育プログラムが開発されます。


(参考資料1) 知的財産検定における事例カードのサンプル
以下は、あくまで事例カードのイメージであり、改善余地のある途上のものです。

科目/領域 国内出願/その他国内出願に関連する法律知識
場面 出願前に発明の内容を公開してしまった
実例
学会発表を優先するあまり、研究開発部門の研究者が知的財産部への連絡なしに学会発表してしまった。
海外の有名研究所から見学に来たという教授にNDAの契約なしに出願前のアイデアを試作品として見せてしまった。
特許出願をすることなく特許を含む製品を販売をしてしまった。
科目/領域 1級相当
正確な法律知識のみならず、判例や審査基準といった実務知識を前提に円滑に業務を遂行できる。問題点を明確かつ具体的に認識でき、その対処法の正確な知識を有する。
(例えば、知的財産部において相当の実務経験を有するレベル)
新規性という特許要件を正確に理解しており、新規性をすでに喪失していると判断できる場合には、新規性喪失の例外適用の有無を検討し、その手続を取ることができる。製品の外観に関連するものであれば意匠登録出願も合わせて検討できる。他社に権利取得されないために発明の内容を公開技報等に掲載して完全かつ明確に新規性を喪失させる可能性を検討できる。新規性を失ったのが基本発明であれば改良発明についての特許出願による周辺固めの可能性を検討できる。
2級相当
基礎的法律知識を前提に自己の業務を遂行できる。問題点を漠然とであるが、認識できる。ただし、法律知識は正確ではない。
(例えば、一般のエンジニア、デザイナー、営業担当者等の知的財産部スタッフ以外の者でも知っておいてほしいレベル)
新規性という特許要件があり、出願前の公表という行為が新規性との関係で問題のある行為であることを知っている。
前提知識 1級相当 新規性に関する法律・実務。新規性喪失の例外に関する法律・実務。意匠法の新規性喪失の例外の要件。公開技報。
2級相当 新規性という特許要件の存在と概要。
指導事項
(※特に実務上で注意すべき事項や他の領域と関連する事項)
新規性喪失の例外適用は欧州では要件が厳しい点。
予稿集の発表などではそもそも新規性を喪失しないケースも多いので簡単に諦めないこと。
意匠法では例外の要件が緩く、「販売」であっても認められる点

(参考資料2)学習構造チャート

学習構造チャート

 一般に、ある知識を理解するためには、その前提となる知識が必要となります。そこで、理解すべき知識と前提知識を構造化することにより、検定での受験者の点数と実際の知識レベルとの誤差を限りなく低減し、受験者の本当の知識レベル(実力)を評価することが可能となります。

 例えば、ある知識Aについて受検者の理解度を測る場合、Aを理解するための前提知識としてa, bがあるとします。また、aを理解するには、d, eの知識が必要であり、dを理解するには、g, hの知識が必要といったように、知識を構造化した上記のようなイメージ図があるとします。

 ここで、ある受検者Xが、Aに関する問題を正解していたにもかかわらず、a, bに関する問題、さらにd, eに関する問題が不正解だったとします。すると、XがAの問題を正解したのは、「偶然」であったと考えられ、本来の知識レベルはもっと下にあることが考えられます。
他方、受検者Yは、Aに関する問題を不正解だったにも係らず、a, b, d, e, h, iに関する問題を全て正解していたとすると、YがAに関する問題を不正解だったのは、不注意によるミスであったか、または知識レベルとして限りなくAに近いレベルであると考えられます。

  このように、知識を構造化してノードとリンクで表現したものを「学習構造化チャート」といいます。このチャートに基づいて試験問題を作成することで、受検者の真の実力を図ることができる一方、これを教材に折り込むことで、教える側や学習する側にとっても既有知識との関連が分かりやすくなり、効率的に学習を進めることができるといった効果もあります。


分科会

ID委員会でデザインされた知的財産教育プログラムを受けて、各科目ごとに「分科会」が開催され実際の開発を行います。

分科会名 担当分野
A分科会 一般法・周辺法・契約
B分科会 特許・実用新案法(調査含む)・条約
C分科会 意匠法・商標法(調査含む)
D分科会 著作権・不正競争防止法

   
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